歯科ユニットの現状
歯科で使われる治療用チェア、(以下、歯科ユニットと呼びます)の給水管の汚染は、
1960年代から報告され、問題視されてきました。
さらに、1990年代には、歯科ユニットの給水管内に形成される『バイオフィルムによる汚染』が注目されるようになりました。
給水環境の衛生管理に厳しい米国においては、既に1990年代に、歯科治療に用いる水に含まれる『従属栄養細菌数』* について、以下のように基準を定めています。
- ADA(米国歯科医師会): 200 CFU/ml 以下
- CDC(米国疾病管理センター): 500 CFU/ml 以下
衛生的な給水環境整備の遅れている日本では、平成19年にようやく、「水質管理目標設定項目」に従属栄養細菌が追加されることとなりました。その目標値は、「1mlの検水で形成される集落数が2,000 CFU以下(暫定)」となっています。
現実には、多くの歯科ユニットから1mlあたり、数千から数十万の細菌が検出されている現状があり、法的な整備とともに、それを実現できる設備等の環境整備が望まれます。
* 従属栄養細菌とは
有機栄養物を比較的低濃度に含む培地を用いて長時間培養した時に集落(コロニー)を形成する全ての細菌のこと。
細菌の毒性は強くないものの、易感染性宿主に対する日和見感染等の危険性が指摘されており、水質の衛生状態を判断する上で重要な指標となっています。